維摩経(ゆいまぎょう)

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維摩経(ゆいまぎょう) (巻中之第三)

入不二法門品(にゅうふにほうもんぼん) 第九(だいく)


爾時(その時) 維摩詰(維摩詰) 謂眾菩薩言(衆の菩薩に謂って言わく)

諸仁者(諸仁者) 云何菩薩(云何が菩薩は) 入不二法門(不二法門(ふにほうもん)に入る)

各隨所樂說之(各々楽う所に随って、これを説け)

會中有菩薩(会中の有る菩薩) 名法自在(法自在と名づくるもの) 說言(説いて言わく)

諸仁者(諸仁者) 生滅為二(生滅を二と為す)

法本不生(法は本より不生なれば) 今則無滅(今すなわち滅すること無し)

得此無生法忍(この無生法忍(不退転の位)を得ること) 是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

德守菩薩曰徳守菩薩曰く 我所 為二我と我所とを二と為す 因有我故我有るに因るが故に 便有我所すなわち我所有り 若無有我もし我有ること無ければ 則無我所すなわち我所も有ること無し

是為入不二法門これを不二法門に入ると為す

不眴菩薩曰(不眴菩薩(ふげんぼさつ)曰く) 受不受為二(受と不受とを二と為す)

若法不受(もし法を受けざれば) 則不可得(すなわち不可得(ふかとく)なり)

以不可得故(不可得なるを以っての故に) 無取(取ること無く) 無捨(捨てること無く) 無作(作すこと無く) 無行(行うこと無し)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

德頂菩薩曰(徳頂菩薩曰く) 垢淨為二(垢(く)と浄(じょう)とを二と為す)

見垢實性(垢の実性を見れば) 則無淨相(即ち浄相無けれども) 順於滅相(滅相(真如の実相)に順ず)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

善宿菩薩曰(善宿菩薩曰く) 為二(これ動、これ念を二と為す)

不動則無念(動かざれば、すなわち念無く) 無念則無分別(念無ければ、すなわち分別することも無し) 通達此者(これに通達する者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

善眼菩薩曰(善眼菩薩曰く) 一相無相為二(一相(平等)と無相とを二と為す)

若知一相即是無相(もし一相は、すなわちこれ無相なりと知れば) 亦不取無相(また無相を取らずして) 入於平等(平等(一相)に入る)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

妙臂菩薩曰(妙臂菩薩(みょうひぼさつ)曰く) 菩薩心(菩薩心と) 聲聞心(声聞心とを) 為二(二と為す)

觀心相空如幻化者(心相(しんそう)の空なること幻化の如しと観ずれば) 無菩薩心(菩薩心無く) 無聲聞心(声聞心も無し)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

弗沙菩薩曰(弗沙菩薩(ふしゃぼさつ)曰く) 善不善為二(善と不善とを二と為す)

若不起善不善(もし善(心)と不善(心)とを起こさず) 入無相際(無相の際(さい)に入りて) 而通達者(通達する者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

師子菩薩曰(師子菩薩曰く) 罪福為二(罪福を二と為す)

若達罪性(もし罪性は) 則與福無異(すなわち福と異なり無しと達して) 以金剛慧(金剛の慧を以って) 決了此相(この相を決了して) 無縛無解者(縛無く解無き者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

師子意菩薩曰(師子意菩薩曰く) 有漏 無漏 為二(有漏と無漏とを二と為す)

若得諸法等(もし諸法等しき(漏と無漏と皆一相平等なり)を得れば) 則不起漏不漏想(すなわち漏と不漏(無漏)の想を起こさず)

不著於相(相に於いても著せず) 亦不住無相(また無相(空)に住せず)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

淨解菩薩曰浄解菩薩曰く 有為 無為 為二有為と無為とを二と為す 若離一切 もし一切の数を離るれば 則心如虛空すなわち心は虚空の如し 以清淨 清浄の慧を以って 無所礙者礙(さ)うる所無き者

是為入不二法門これを不二法門に入ると為す

那羅延菩薩曰(那羅延菩薩(ならえんぼさつ)曰く) 世間出世間為二(世間と出世間とを二と為す)

世間性空(世間の性は空なれば) 即是出世間(すなわちこれ出世間なり)

於其中(その中に於いて) 不入不出(入らず出でず(生死なく)) 不溢不散(溢れず散ぜず(行業因縁なし))

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す) 善意菩薩曰(善意菩薩曰く) 生死涅槃為二(生死と涅槃とを二と為す)

若見生死性(もし生死の性を見れば) 則無生死(すなわち生死無く) 無縛無解(縛も無く解も無く) 不生不滅(不生不滅なり)

如是解者(かくの如く解する者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

現見菩薩曰(現見菩薩曰く) 盡不盡為二(尽と不尽とを二と為す)

法若究竟盡(法、もしくは究竟して尽くるも) 若不盡(もしくは尽きざるも) 皆是無盡相(皆これ尽くる相無し)

無盡相(尽くる相無ければ) 即是空(すなわちこれ空なり)

空則無有盡不盡相(空とは、すなわち尽くると尽きざるの相有ること無し) 如是入者(かくの如く入る者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

普守菩薩曰(普守菩薩曰く) 我無我為二(我と無我とを二と為す)

我尚不可得(我すら、なお不可得なり) 非我何可得(非我(無我)、何ぞ得べき)

見我實性者(我の実の性を見る者は) 不復起二(また二を起こさず)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

電天菩薩曰(電天菩薩曰く) 明無明為二(明と無明とを二と為す)

無明實性(無明の実の性は) 即是明(すなわちこれ明なり)

明亦不可取(明もまた取るべからず)

離一切數(一切の数(すう、分別、ハカライ)を離れて) 於其中平等(その中に平等にして) 無二者(無二なる者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

喜見菩薩曰(喜見菩薩曰く) 色色空為二(色と色空とを二と為す)

色即是空(色とは、すなわちこれ空なり)

非色滅空(色滅して空となるに非ず)

色性自空(色の性は自ずから空なり)

如是受想行識(かくの如く、受想行識と) 識空為二(識空とを二と為す) 識即是空(識とは、すなわちこれ空なり)

非識滅空(識滅して空となるに非ず)

識性自空(識の性は自ずから空なり)

於其中(その中に於いて) 而通達者(通達する者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

明相菩薩曰(明相菩薩曰く) 四種異(四種(地水火風の四大)の異と) 空種異為二(空種の異とを二と為す)

四種性(四種の性とは) 即是空種性(すなわちこれ空種の性なり)

如前際後際空故((衆生の)前際と後際と空なるが故に) 中際亦空(中際もまた空なるが如し)

若能如是(もしかくの如く) 知諸種性者(諸種の性を知る者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

妙意菩薩曰(妙意菩薩曰く) 眼色為二(眼と色とを二と為す)

若知眼性於色(もし眼の性は、色に於いて) 不貪不恚不癡(貪らず恚(いか)らず癡(おろか)ならずと知らば) 是名寂滅(これを寂滅(涅槃)と名づく)

如是耳聲(かくの如く耳と声と) 鼻香(鼻と香と) 舌味(舌と味と) 身觸(身と触と) 意法為二(意と法とを二と為す)

若知意性(もし意の性は) 於法(法に於いて) 不貪不恚不癡(貪らず恚らず癡ならずと知らば) 是名寂滅(これを寂滅と名づけ) 安住其中(その中に安住すること)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

無盡意菩薩曰(無尽意菩薩曰く) 布施迴向一切智為二(布施と(仏の)一切智に廻向(えこう)するとを二と為す)

布施性(布施の性は) 即是迴向一切智性(すなわちこれ一切智に廻向するの性なり)

如是持戒(かくの如く持戒) 忍辱(忍辱) 精進(精進) 禪定(禅定) 智慧(智慧と) 迴向一切智為二(一切智に廻向するとを二と為す)

智慧性(智慧の性は) 即是迴向一切智性(すなわちこれ一切智に廻向するの性なり)

於其中(その中に於いて) 入一相者(一相に入る者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

深慧菩薩曰(深慧菩薩曰く) 是空是無相(これ空(我ナシ)と、これ無相(我ガ身心ナシ)と) 是無作為二(これ無作とを二と為す)

空即無相(空は、すなわち無相) 無相即無作(無相は、すなわち無作なり)

若空無相無作(もし空無相無作なれば) 則無心意識(すなわち心意識無し)

於一解脫門(一解脱門に於いて) 即是三解脫門者(すなわちこれ三解脱門なる者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

寂根菩薩曰(寂根菩薩曰く) 佛法眾為二(仏と法と衆(僧)とを二と為す)

佛即是法(仏は、すなわちこれ法) 法即是眾(法は、すなわちこれ衆なり)

是三寶(この三宝は) 皆無為相(皆無為の相にして) 與虛空等(虚空と等し)

一切法亦爾(一切の法もまた爾(しか)り)

能隨此行者(よくここに随うて行ずる者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

心無礙菩薩曰(心無礙菩薩曰く) 身身滅為二(身(五陰)と身滅(涅槃)とを二と為す)

身即是身滅(身とは、すなわちこれ身滅なり)

所以者何(所以は何となれば) 見身實相者(身の実の相を見る者は) 不起見身及見滅身(身を見ること、および滅身を見ることを起こさず)

身與滅身(身と滅身とは) 無二無分別(二無く分別無し)

於其中(その中に於いて) 不驚不懼者(驚かず懼(おそ)れざる者)

是為入不二法門(これを不二法門と為す)

上善菩薩曰(上善菩薩曰く) 身口意善為二(身口意の業を二と為す)

是三業(この三業は) 皆無作相(皆作相無し)

身無作相(身に作相無ければ) 即口無作相(すなわち口に作相無し)

口無作相(口に作相無ければ) 即意無作相(すなわち意に作相無し)

是三業無作相(この三業に作相無ければ) 即一切法無作相(すなわち一切の法に作相無し)

能如是(よくかくの如く) 隨無作慧者(無作の慧に随う者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

福田菩薩曰(福田菩薩曰く) 福行罪行(福行と罪行と) 不動行 為二(不動行とを二と為す)

三行實性(三行の実の性は) 即是空(すなわちこれ空なり)

空則無福行(空は、すなわち福行無く) 無罪行(罪行無く) 無不動行(不動行無し)

於此三行(この三行に於いて) 而不起者(起こさざる者)

是為入不二法門(これを不二法門と為す)

華嚴菩薩曰(華厳菩薩曰く) 從我起二(我(が)に従り、二(我と彼)を起こすを) 為二(二と為す)

見我實相者(我の実の相を見る者は) 不起二法(二法を起こさず)

若不住二法(もし二法に住せざれば) 則無有識(すなわち識ること(認識)有ること無し)

無所識者(識る所の無き者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

德藏菩薩曰(徳蔵菩薩曰く) 有所得相為二(得る所の相(我相と彼相)を二と為す)

若無所得(得る所(分別)無ければ) 則無取捨(すなわち取捨無し)

無取捨者(取捨無き者)

是為入不二法門(これを不二法門と為す)

月上菩薩曰(月上菩薩曰く) 闇與明為二(闇と明とを二と為す)

無闇無明(闇無く明無ければ) 則無有二(すなわち二有ること無し)

所以者何(所以は何となれば) 如入滅受想定(受想を滅する定に入れば) 無闇無明(闇無く明無きが如し)

一切法相(一切の法相も) 亦復如是(また、またかくの如し)

於其中(その中に於いて) 平等入者(平等にして入る者)

是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

寶印手菩薩曰(宝印手菩薩曰く) 樂涅槃(涅槃を楽(ねが)うと) 不樂世間(世間を楽わざるとを) 為二(二と為す)

若不樂涅槃(もし涅槃を楽わず) 不厭世間(世間を厭わざれば) 則無有二(すなわち二有ること無し)

所以者何(所以は何となれば) 若有縛則有解(もし縛(繫縛)有らば解(解脱)有り)

若本無縛(もし本より縛無くんば) 其誰求解(それ誰か解を求むる)

無縛無解(縛無く解無ければ) 則無樂厭(すなわち楽うと厭うも無し) 是為入不二法門(これを不二法門と為す)

珠頂王菩薩曰(珠頂王菩薩曰く) 正道邪道為二(正道と邪道とを二と為す)

住正道者(正道に住すれば) 則不分別是邪是正(すなわちこれ邪これ正と分別せず)

離此二者(この二を離るる者) 是為入不二法門(これを不二法門と為す)

樂實菩薩曰(楽実菩薩(ぎょうじつぼさつ)曰く) 實不實為二(実と不実とを二と為す)

實見者(実に見る者も) 尚不見實(なお実をすら見ず)

何況非實(何をか況や実に非ざるものをや)

所以者何(所以は何となれば) 非肉眼所見(肉眼(にくげん)の見る所に非ず) 慧眼乃能見(慧眼(えげん)なれば、よく見る)

而此慧眼(しかれども、この慧眼は) 無見無不見(見ること無く、見ざること無し) 是為入不二法門(これを不二法門と為す)

如是(かくの如く) 諸菩薩(諸の菩薩は) 各各說已(各々説きおわりて) 問文殊師利(文殊師利に問わく)

何等是菩薩(何等かこれ菩薩) 入不二法門(不二法門に入る) 文殊師利曰(文殊師利曰く) 如我意者(我が意の如きは) 於一切法(一切の法に於いて) 無言無說(言うこと無く、説くこと無く) 無示無識(示すこと無く、識ること無し)

離諸問答(諸の問答を離るる) 是為入不二法門(これを不二法門に入ると為す)

於是(ここに於いて) 文殊師利(文殊師利) 問維摩詰(維摩詰に問わく)

我等(我等) 各自說已(おのおの自ら説きおわりぬ)

仁者當說(仁者、まさに説くべし) 何等是菩薩(何等かこれ菩薩) 入不二法門(不二法門に入る)

時維摩詰(時に維摩詰) 默然無言(黙然として言無し)

文殊師利歎曰(文殊師利歎じて曰く)

善哉善哉(善哉善哉) 乃至無有文字語言(すなわち文字言語の有ること無きに至る) 是真入不二法門(これ真の不二法門なり)

說是入不二法門品時(この不二法門品を説く時) 於此眾中(この衆中に於いて) 五千菩薩(五千の菩薩) 皆入不二法門(皆不二法門に入りて) 得無生法忍(無生法忍を得たり)


(( 仏国品第一 )) (( 方便品第二 )) > (( 弟子品第三 )) (( 菩薩品第四 )) (( 文殊師利問疾品第五 )) (( 不思議品第六 )) (( 観衆生品第七 )) (( 仏道品第八 )) (( 入不二法門品第九 )) (( 香積品仏品第十 )) (( 菩薩行品第十一 )) (( 見阿閦仏品第十二 )) (( 法供養品第十三 )) (( 嘱累品第十四 ))


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