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仏は僧たちに告げます。
数えきれない程、遠い昔に、 大通智勝如来（だいつうちしょう）という仏がいました。
その国は好成（こうじょう）と呼ばれ、、 劫（時代）を大相（だいそう）と呼ばれました。
僧たちよ、その仏が亡くなったのは遠い昔でした。
私は如来の知見で、遥か遠い昔のことが、今日のように見えるのです。
この後、この大通智勝如来の寿命（五兆四千億劫）と、 成仏するまでの過程が記されてます。
壇上に座し続け、 魔軍を破った後でも、諸仏は現れなかったのです。
諸天が十万由旬の座を供養し、梵天王たちが天花を降し続け、 四天王が天鼓を打ち鳴らし続け、天人達も天の伎楽を演奏し続けました。
そうやって、十小劫が過ぎた後、やっと成仏します。
この大通智勝如来には十六人の王子がいました。
第一王子を智積といって、王子たちはそれぞれ、 珍しい玩具を持っていましたが、父が無上の悟りを得たと聞き、 皆、珍しい玩具を捨てて仏となった父の所に向かいます。
大いなる威光と福徳ある世尊は、全ての衆生を救うため、 計り知れない年月を費やし仏となりました。
世尊、あなたは衆生の心の奥底にあるものを知り、 衆生が行く道を知り、衆生の智慧の力も知っています。
欲望や喜び、 前世から持ち続けている働きを世尊は全て知っています。
今こそ、無上の教えの輪を説いてください。
大通智勝仏が無上の悟りを得たとき、十方にある幾千万億の諸仏世界は六種に揺れ、 それらの土地の暗い場所、太陽や月の光も照らし出す事が出来ない様な 僻地などが明らかになり、全ての衆生は互いに見る事が出来る様になりました。
梵天王たちはこう思ったのです。
今の宮殿の明るさは、過去に一度も出会ったことがありません。
この現象が現れたのは、どのような因からなのでしょうか。
梵天王らは解らず、それぞれ尋ね合います。
その中から、４人の梵天王たちが登場し、 どのような因からなのか教えを請います。
大通智勝如来は、十方の梵天王たち、及び十六人の王子の請いを受け、 人が前世・現世・来世に於いて三界を流転する輪廻の様子を 説明した十二因縁の教えを三通り説かれます。
それは沙門であっても婆羅門であっても、 天人や、悪魔や、梵天や、その他のいかなるものであっても、 説くことの出来ないものでした。
四諦（したい）とは、「苦である、苦の原因である、苦の滅である、苦を滅する道である」 という教えでした。
十二因縁とは、 つまり、無知が行いに作用し、行いは意識に作用し、 意識はその名前と形に作用し、形と作用は６つの感覚器官に作用し、 ６つの感覚器官は触に作用し、触は感覚に作用し、感覚は欲に作用し、 欲は執着に作用し、執着は存在に作用し、存在は誕生に作用し、 誕生は老化と死、心配と悲しみ、苦しみと苦悩を引き起こします。
無知が取り除かれれば、行いが取り除かれ、行いが取り除かれれば、 意識が取り除かれる。意識が取り除かれれば、名前と形が取り除かれ、 名前の形が取り除かれれば、６つの感覚器官が取り除かれます。 ６つの感覚器官が取り除かれれば、触が取り除かれ、触が取り除かれれば、 感覚が取り除かれます。感覚が取り除かれれば、欲が取り除かれ、 欲が取り除かれれば、執着が取り除かれます。 執着が取り除かれれば、存在が取り除かれ、存在が取り除かれれば、 誕生が取り除かれます。誕生が取り除かれれば、老化と死、心配と悲しみ、 苦しみと苦悩が取り除かれるのです。
これを聞いた多くの衆生が声聞になっていきます。
次に、先ほどの十六人の王子たちが再登場します。
父であって仏になった大通智勝如来が四諦、 十二因縁を説きましたが、彼らは更にその奥にある無上の悟りを求めます。
十六人の王子は皆、少年だったので出家し、見習いの僧になります。
彼らの能力は鋭く、智慧は明らかでした。
既に幾千万億の諸仏を供養し修行しています。
彼らは最上の完全な悟りを求めます。
世尊よ、われらは如来の智慧を得ようと決意しているのです。
仏は応え、二万劫が過ぎてから、出家者や在家者に、 菩薩を教える法、仏が心に掛け守るものという妙法蓮華と言う大乗経を説かれます。
この経を説き終ったとき、十六人の見習い僧は、最極の完全な智慧のため、 皆で全てを聞き、共にこれを記憶し、詠唱し、理解します。
この経を説かれたとき、十六人の菩薩の見習い僧は、全てを信じ受け入れますが、 大勢の声聞たちの中にもまた信じ理解する者がいました。
しかし、それ以外の幾千万億の衆生は疑念を感じます。
仏は八千劫の間休んだり止めたりすることなくこの経を説きます。
この経を説き終って、静室に入り、八万四千劫の間禅定に住します。
この時、十六人の菩薩となった見習い僧は、仏が室に入り、 静かに禅定しているのを知り、各々、法座に昇り、 また八万四千劫の間、人々の為に妙法華経を広く説き明すのです。
このようにして、一人一人がガンジス河の砂の数に広しい幾千万億の衆生を救い、 功徳と喜びをもたらし、最極の完全なる智慧に向かう心を起こします。
大通智勝仏は冥想を終え、大衆にこの十六人の見習い僧は、稀な菩薩が 彼らの説くところを信じ、受け止め、謗ることが無ければ最極の 完全なる智慧を得ることができると告げます。
この十六人の菩薩は、妙法蓮華経を広めていきます。
その後、この十六人の一人一人の仏の名を告げます。
そして十六番目の仏の名前を告げるのです。
第十六は私である釈迦牟尼仏であり、 この娑婆国土で、無上の完全なる智慧を得たのです。
僧たちよ、もし如来が涅槃に入るべき時期が来たと知り、 会衆が清浄で、信じて理解する力が固く、空の教えを理解し、 禅定に深く入っているなら、如来は菩薩と弟子達を集め、 彼らの為にこの経を説くのです。
如来の方便は深く、 衆生の中に深く入って行きます。
彼は衆生が小さな教義に喜ぶことや、 ５つの欲望に深く執着しているのを知っているのです。
彼らはそれを好むことを知っているので、如来が涅槃に入る時、 衆生に方便を使い、聞かせ、信じさせ、受け入れさせるのです。
そして、 化城宝処（けじょうほうしょ）の譬え話が始まります。
ここに、五百由旬の長さの悪路があったとしましょう。
険しく困難な遠路を、多くの人たちが珍しい宝の ある場所に行くために通らなければならなかったとします。
一人の導師がいたとして、彼は聡明で智慧があり、 この険しい道の状態を把握しているのです。
その彼が多くの人を率いてこの困難な難所を通ろうとします。
率いられた人々は道の途中で挫けそうになり、 導師に向かってこのように言います。
私たちは疲れ果て、恐れ慄いており、前に進む事は出来ません。
今から引き返そうと思っているのです。
この導師は多くの方便を知っていてこのように思います。
何と哀れなことでしょう。どうして大いなる珍しい宝を諦めて、 引き返そうと思うのでしょう。
そこで彼は方便を用い、三百由旬を過ぎたところに神通力で一つの都城をつくり、 伝えます。
恐れて引き返してはいけません。
この大きな城に留まり、体を休め、好きなことをしなさい。
この城に入れば安穏になれるでしょう。
その後、もし宝のある場所に行こうという気持ちができたら、 この城を出ればいいではないでしょうか。
この時、疲れ果てていた人々は歓喜し、 安穏になれるところを見つけたと進んで城の中に入り、 すっかり安心して穏やかな気持ちになったのです。
導師は人々が休息を十分にとり、恐れも疲れも取れたことを知り、 幻の都城を消し、告げます。
さあ行きましょう。宝の場所はもう直ぐそこです。
この大都城は休ませるために、私が作り出したのです。
僧たちよ、如来も似たような立場なのです。
あなたたちの偉大な導師で、生死や煩悩の悪路が困難で長く、 そして果てしなく遠くなのに、 そこを越えなくてはいけないことを知っているのです。
もし衆生がそのまま一仏乗を聞いたなら、まず仏を見ようとも、 近づこうともせず、このように思うでしょう。
仏道というのは果てしなく、長い間苦労しなければ仏にはなれないのだ。
仏は、衆生の心が臆病で弱く、低いことを知っていて、 道の途中で休ませるために、方便を使い二つの涅槃を説くのです。
もし、衆生が２つの境地に安住した時に、仏はこのように説くのです。
あなたたちは、なすべきことが分からないのです。
今いる境地は確かに仏の智慧に近いが、深く思索してみなさい。
あなたたちが得たと思っているこの安息は真実のものではないのです。
それは只、如来が方便によって、衆生の区別がない 一仏乗を三乗だと説いただけなのです。
そして、導師のような仏は、休息させるために大きな都城を作り上げ、 休息を十分に取ったと知り、このように伝えるのです。
宝の場所は直ぐそこです。
この大都城は現実の城ではなく、私が作り出したものなのです。
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要約
仏は僧たちに告げます。
数えきれない程、遠い昔に、 大通智勝如来（だいつうちしょう）という仏がいました。
その国は好成（こうじょう）と呼ばれ、、 劫（時代）を大相（だいそう）と呼ばれました。
僧たちよ、その仏が亡くなったのは遠い昔でした。
私は如来の知見で、遥か遠い昔のことが、今日のように見えるのです。
この後、この大通智勝如来の寿命（五兆四千億劫）と、 成仏するまでの過程が記されてます。
壇上に座し続け、 魔軍を破った後でも、諸仏は現れなかったのです。
諸天が十万由旬の座を供養し、梵天王たちが天花を降し続け、 四天王が天鼓を打ち鳴らし続け、天人達も天の伎楽を演奏し続けました。
そうやって、十小劫が過ぎた後、やっと成仏します。
この大通智勝如来には十六人の王子がいました。
第一王子を智積といって、王子たちはそれぞれ、 珍しい玩具を持っていましたが、父が無上の悟りを得たと聞き、 皆、珍しい玩具を捨てて仏となった父の所に向かいます。
大いなる威光と福徳ある世尊は、全ての衆生を救うため、 計り知れない年月を費やし仏となりました。
世尊、あなたは衆生の心の奥底にあるものを知り、 衆生が行く道を知り、衆生の智慧の力も知っています。
欲望や喜び、 前世から持ち続けている働きを世尊は全て知っています。
今こそ、無上の教えの輪を説いてください。
大通智勝仏が無上の悟りを得たとき、十方にある幾千万億の諸仏世界は六種に揺れ、 それらの土地の暗い場所、太陽や月の光も照らし出す事が出来ない様な 僻地などが明らかになり、全ての衆生は互いに見る事が出来る様になりました。
梵天王たちはこう思ったのです。
今の宮殿の明るさは、過去に一度も出会ったことがありません。
この現象が現れたのは、どのような因からなのでしょうか。
梵天王らは解らず、それぞれ尋ね合います。
その中から、４人の梵天王たちが登場し、 どのような因からなのか教えを請います。
大通智勝如来は、十方の梵天王たち、及び十六人の王子の請いを受け、 人が前世・現世・来世に於いて三界を流転する輪廻の様子を 説明した十二因縁の教えを三通り説かれます。
それは沙門であっても婆羅門であっても、 天人や、悪魔や、梵天や、その他のいかなるものであっても、 説くことの出来ないものでした。
四諦（したい）とは、「苦である、苦の原因である、苦の滅である、苦を滅する道である」 という教えでした。
十二因縁とは、 つまり、無知が行いに作用し、行いは意識に作用し、 意識はその名前と形に作用し、形と作用は６つの感覚器官に作用し、 ６つの感覚器官は触に作用し、触は感覚に作用し、感覚は欲に作用し、 欲は執着に作用し、執着は存在に作用し、存在は誕生に作用し、 誕生は老化と死、心配と悲しみ、苦しみと苦悩を引き起こします。
無知が取り除かれれば、行いが取り除かれ、行いが取り除かれれば、 意識が取り除かれる。意識が取り除かれれば、名前と形が取り除かれ、 名前の形が取り除かれれば、６つの感覚器官が取り除かれます。 ６つの感覚器官が取り除かれれば、触が取り除かれ、触が取り除かれれば、 感覚が取り除かれます。感覚が取り除かれれば、欲が取り除かれ、 欲が取り除かれれば、執着が取り除かれます。 執着が取り除かれれば、存在が取り除かれ、存在が取り除かれれば、 誕生が取り除かれます。誕生が取り除かれれば、老化と死、心配と悲しみ、 苦しみと苦悩が取り除かれるのです。
これを聞いた多くの衆生が声聞になっていきます。
次に、先ほどの十六人の王子たちが再登場します。
父であって仏になった大通智勝如来が四諦、 十二因縁を説きましたが、彼らは更にその奥にある無上の悟りを求めます。
十六人の王子は皆、少年だったので出家し、見習いの僧になります。
彼らの能力は鋭く、智慧は明らかでした。
既に幾千万億の諸仏を供養し修行しています。
彼らは最上の完全な悟りを求めます。
世尊よ、われらは如来の智慧を得ようと決意しているのです。
仏は応え、二万劫が過ぎてから、出家者や在家者に、 菩薩を教える法、仏が心に掛け守るものという妙法蓮華と言う大乗経を説かれます。
この経を説き終ったとき、十六人の見習い僧は、最極の完全な智慧のため、 皆で全てを聞き、共にこれを記憶し、詠唱し、理解します。
この経を説かれたとき、十六人の菩薩の見習い僧は、全てを信じ受け入れますが、 大勢の声聞たちの中にもまた信じ理解する者がいました。
しかし、それ以外の幾千万億の衆生は疑念を感じます。
仏は八千劫の間休んだり止めたりすることなくこの経を説きます。
この経を説き終って、静室に入り、八万四千劫の間禅定に住します。
この時、十六人の菩薩となった見習い僧は、仏が室に入り、 静かに禅定しているのを知り、各々、法座に昇り、 また八万四千劫の間、人々の為に妙法華経を広く説き明すのです。
このようにして、一人一人がガンジス河の砂の数に広しい幾千万億の衆生を救い、 功徳と喜びをもたらし、最極の完全なる智慧に向かう心を起こします。
大通智勝仏は冥想を終え、大衆にこの十六人の見習い僧は、稀な菩薩が 彼らの説くところを信じ、受け止め、謗ることが無ければ最極の 完全なる智慧を得ることができると告げます。
この十六人の菩薩は、妙法蓮華経を広めていきます。
その後、この十六人の一人一人の仏の名を告げます。
そして十六番目の仏の名前を告げるのです。
第十六は私である釈迦牟尼仏であり、 この娑婆国土で、無上の完全なる智慧を得たのです。
僧たちよ、もし如来が涅槃に入るべき時期が来たと知り、 会衆が清浄で、信じて理解する力が固く、空の教えを理解し、 禅定に深く入っているなら、如来は菩薩と弟子達を集め、 彼らの為にこの経を説くのです。
如来の方便は深く、 衆生の中に深く入って行きます。
彼は衆生が小さな教義に喜ぶことや、 ５つの欲望に深く執着しているのを知っているのです。
彼らはそれを好むことを知っているので、如来が涅槃に入る時、 衆生に方便を使い、聞かせ、信じさせ、受け入れさせるのです。
そして、 化城宝処（けじょうほうしょ）の譬え話が始まります。
ここに、五百由旬の長さの悪路があったとしましょう。
険しく困難な遠路を、多くの人たちが珍しい宝の ある場所に行くために通らなければならなかったとします。
一人の導師がいたとして、彼は聡明で智慧があり、 この険しい道の状態を把握しているのです。
その彼が多くの人を率いてこの困難な難所を通ろうとします。
率いられた人々は道の途中で挫けそうになり、 導師に向かってこのように言います。
私たちは疲れ果て、恐れ慄いており、前に進む事は出来ません。
今から引き返そうと思っているのです。
この導師は多くの方便を知っていてこのように思います。
何と哀れなことでしょう。どうして大いなる珍しい宝を諦めて、 引き返そうと思うのでしょう。
そこで彼は方便を用い、三百由旬を過ぎたところに神通力で一つの都城をつくり、 伝えます。
恐れて引き返してはいけません。
この大きな城に留まり、体を休め、好きなことをしなさい。
この城に入れば安穏になれるでしょう。
その後、もし宝のある場所に行こうという気持ちができたら、 この城を出ればいいではないでしょうか。
この時、疲れ果てていた人々は歓喜し、 安穏になれるところを見つけたと進んで城の中に入り、 すっかり安心して穏やかな気持ちになったのです。
導師は人々が休息を十分にとり、恐れも疲れも取れたことを知り、 幻の都城を消し、告げます。
さあ行きましょう。宝の場所はもう直ぐそこです。
この大都城は休ませるために、私が作り出したのです。
僧たちよ、如来も似たような立場なのです。
あなたたちの偉大な導師で、生死や煩悩の悪路が困難で長く、 そして果てしなく遠くなのに、 そこを越えなくてはいけないことを知っているのです。
もし衆生がそのまま一仏乗を聞いたなら、まず仏を見ようとも、 近づこうともせず、このように思うでしょう。
仏道というのは果てしなく、長い間苦労しなければ仏にはなれないのだ。
仏は、衆生の心が臆病で弱く、低いことを知っていて、 道の途中で休ませるために、方便を使い二つの涅槃を説くのです。
もし、衆生が２つの境地に安住した時に、仏はこのように説くのです。
あなたたちは、なすべきことが分からないのです。
今いる境地は確かに仏の智慧に近いが、深く思索してみなさい。
あなたたちが得たと思っているこの安息は真実のものではないのです。
それは只、如来が方便によって、衆生の区別がない 一仏乗を三乗だと説いただけなのです。
そして、導師のような仏は、休息させるために大きな都城を作り上げ、 休息を十分に取ったと知り、このように伝えるのです。
宝の場所は直ぐそこです。
この大都城は現実の城ではなく、私が作り出したものなのです。
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