徒然草

元に戻る 新着の囲碁棋譜

(0) (10) (20) (30) (40) (50) (60) (70) (80) (90) (100) (110) (120) (130) (140) (150) (160) (170) (180) (190) (200) (210) (220) (221) (222) (223) (224) (225) (226) (227) (228) (229) (230) (231) (232) (233) (234) (235) (236) (237) (238) (239) (240) (241) (242) (243)


徒然草 第二百四十一段



望月 のまどかなる事は(満月が丸い状態は)

暫くも 住(ぢゅう)せず (少しの間もそのままではなく) やがて欠けぬ(すぐに欠けてしまう)

心とどめぬ人は(注意しない人は) 一夜(ひとよ)の中(うち)に(一晩のうちに)

さまで変るさまも見えぬにやあらん(そこまで変わる様子も見えないに違いない)

病の重(おも)るも(病が重くなるのも)

住(ぢゅう)する隙(ひま)なくして(少しの間も同じ状態ではなく)

死期(しご)既に近し((気が付くと)死がすでに近く迫っている)

されども(しかし) いまだ病急ならず(いまだ病が緊急ではなく) 死に赴かざる程は(死に直面していないうちは)

常住や平生(へいぜい)の念 に習ひて(平穏な日常がずっと続くという思いこみに慣れ)


生(しょう)の中に多くの事を成(じょう)じて後(生きている間に多くの事を成した後で)

閑(しづ)かに道を修せんと思ふほどに(心静かに仏道修行をしようと思っているうちに)

病を受けて 死門(しもん)に臨む時 (病にかかって死に臨む時)

所願一事(いちじ)も成ぜず(願いは一つも成しておらず)

言ふかひなくて(言ってももうどうしようもなく) 年月の懈怠(けだい)を悔いて(長年にわたる怠慢を悔いて)

この度(たび)(今度)

若(も)したちなほりて命を全くせば(もし病から回復して命をまっとうすることができるなら)

夜(よ)を日につぎて(夜を日についで)

この事かの事(この事あの事) 怠らず成(じょう)じてんと(怠りなく成し遂げようと)

願ひを起すらめど(願いを起こすようだが)

やがて重りぬれば(すぐに病が重くなれば)

我にもあらず(正気を失い) 取り乱して果てぬ(取り乱して死んでしまう)

このたぐひのみこそあらめ(この類の人が世の中には多いのだろう)

この事(この事を) まづ(まず) 人々急ぎ心に置くべし。(人々は心に留めるべきである)

所願を成(じょう)じて後(願いを成し遂げた後で)

暇(いとま)ありて道に向はんとせば(暇があったら仏道修行に向かおうとしていると)

所願尽くべからず(願いは尽きるものではない)

如幻(にょげん)の生(しょう) の中に(幻のような人生の中で)

何事をかなさん(いったい何を成すというのか)

すべて所願皆(すべて願いは皆) 妄想(もうぞう)なり(真理に背いた邪念である)

所願心に来たらば(願いが心に起こったら)

妄心迷乱(もうしんめいらん)すと知りて(迷いの心が迷い乱すのだと知って)

一事をもなすべからず(一つの事をも成してはならない)

直(ただ)ちに(ただちに) 万事を放下(ほうげ)して(一切を投げ捨てて)

道に向ふ時(仏の道に向かう時)

さはりなく(さしさはりなく) 所作 なくて(無用な行為もなく)

心身 (しんじん)永くしづかなり。(心と体は永く静かになるのだ)


(0) (10) (20) (30) (40) (50) (60) (70) (80) (90) (100) (110) (120) (130) (140) (150) (160) (170) (180) (190) (200) (210) (220) (221) (222) (223) (224) (225) (226) (227) (228) (229) (230) (231) (232) (233) (234) (235) (236) (237) (238) (239) (240) (241) (242) (243)


Copyright ©2025 Matsumura DB Lab. All rights reserved.

お問い合わせメールは、こちらからお願いします。Please contact us !

あなたは 0000039885 人目のお客様です。
You connected as No. 0000039885 customer.