徒然草

(0) (10) (20) (30) (40) (50) (60) (70) (80) (90) (100) (101) (102) (103) (104) (105) (106) (107) (108) (109) (110) (111) (112) (113) (114) (115) (116) (117) (118) (119) (120) (121) (122) (123) (124) (125) (126) (127) (128) (129) (130) (140) (150) (160) (170) (180) (190) (200) (210) (220) (230) (231) (232) (233) (234) (235) (236) (237) (238) (239) (240) (241) (242) (243)

徒然草第百十段

雙六（すぐろく）の上手といひし人に(双六の上手という人に)

その術（てだて）を問ひ侍りしかば(そのやり方を質問しました所)

「勝たんとうつべからず(「勝とうとして打ってはならない)

負けじとうつべきなり(負けまいとして打つべきだ)

いづれの手か疾く負けぬべきと案じて(どの手を打てば早く負けるだろうと考えて)

その手を使はずして(その手を使わずに)

一目なりとも(一目でも)

遲く負くべき手に(遅く負けるようなやり方を) つくべし」といふ(すべきだ」と言う)

道を知れる教（おしえ）(その道をよく知った教えであって)

身を修め(身を治め) 國を保たむ道も(国を保つ道も)

またしかなり。(又同じである)