徒然草

(0) (10) (20) (30) (40) (50) (60) (70) (80) (90) (100) (110) (120) (130) (131) (132) (133) (134) (135) (136) (137) (138) (139) (140) (141) (142) (143) (144) (145) (146) (147) (148) (149) (150) (151) (152) (153) (154) (155) (156) (157) (158) (159) (160) (170) (180) (190) (200) (210) (220) (230) (240) (241) (242) (243)

徒然草第百四十六段

明雲座主（めいうんざす） (明雲座主が) 相者（そうじゃ）にあひ給ひて(にお向かいになって)

「おのれ(「私は) もし兵杖（ひょうじょう）の難やある」(もしかしたら武器によって殺傷されるだろうか」) と尋ね給ひければ(とお尋ねになったところ)

相人（そうにん）(人相見は) 「誠に(「本当に) その相おはします」と申す(その相がございます」と申した)

「いかなる相ぞ」(「どんな相だ」) と尋ね給ひければ(とお尋ねになったところ)

「傷害のおそれ(「武器で危害を加えられるような) おはしますまじき(恐れもないはずの)

御身にて(御身でありながら) かりにも(かりそめにも) かく思（おぼ）し寄りて尋ね給ふ(このように思われてお尋ねになったこと) これ既に(これが既に) その危ぶみのきざしなり」と申しけり(その危険の兆候です」と申した)

はたして(はたして) 矢にあたりて失せ給ひにけり。(矢に当たってお亡くなりになった)