徒然草

(0) (10) (20) (30) (40) (50) (60) (70) (80) (90) (100) (110) (120) (130) (140) (150) (160) (170) (171) (172) (173) (174) (175) (176) (177) (178) (179) (180) (181) (182) (183) (184) (185) (186) (187) (188) (189) (190) (191) (192) (193) (194) (195) (196) (197) (198) (199) (200) (210) (220) (230) (240) (241) (242) (243)

徒然草第百八十五段

城陸奥守泰盛は(城陸奥守(じょうのむつのかみ)泰盛(やすもり)は)

さうなき馬乗りなりけり(比類なき馬乗りである)

馬を引き出(いだ)させけるに(馬を引き出させる時) 足をそろへて(足をそろえて)

閾(しきみ)をゆらりと(敷居をゆらりと) 越ゆるを見ては(越えるのを見ては)

「是(これ)は勇める馬なり」とて(「これは気の荒い馬である」といって)

鞍を置きかへさせけり(鞍を置き換えさせた)

又(また) 足を伸べて閾(しきみ)に蹴あてぬれば(足をのばして敷居に蹴り当てると)

「是(これ)は鈍くして(「これは鈍感で)

あやまちあるべし」とて(間違いがあるに違いない」といって)

乗らざりけり(乗らなかった)

道を知らざらん人(道を知らない人は)

かばかり恐れなんや。(こんなにも恐れるだろうか)