徒然草

(0) (10) (20) (30) (40) (50) (60) (70) (80) (90) (100) (110) (120) (130) (140) (150) (160) (170) (171) (172) (173) (174) (175) (176) (177) (178) (179) (180) (181) (182) (183) (184) (185) (186) (187) (188) (189) (190) (191) (192) (193) (194) (195) (196) (197) (198) (199) (200) (210) (220) (230) (240) (241) (242) (243)

徒然草第百八十六段

吉田と申す馬乗りの申し侍りしは(吉田と申す馬乗りの申しましたのは)

「馬ごとにこはきものなり(「馬ごとに手ごわいものだ) 人の力(人の力で) あらそふべからずと知るべし(争ってはならないと知るべきだ)

乗るべき馬をば(乗るべき馬をば) まづよく見て(まづよく見て) 強き所(強い所) 弱き所を知るべし(弱い所を知るべきです)

次に(次に) 轡・鞍の具に(轡・鞍の具に) 危き事やあると見て(危ない所が無いだろうかと見て)

心にかかる事あらば(気になる所があれば) その馬を馳すべからず(その馬を走らせてはならない)

この用意を忘れざるを馬乗りとは申すなり(この用意を忘れない者を馬乗りと申すのだ)

これ秘蔵(ひそう)の事なり」と申しき。(これが馬に乗る秘訣だ」と申しました)