徒然草

(0) (10) (20) (30) (40) (50) (60) (70) (80) (90) (100) (110) (120) (130) (140) (150) (160) (161) (162) (163) (164) (165) (166) (167) (168) (169) (170) (171) (172) (173) (174) (175) (176) (177) (178) (179) (180) (181) (182) (183) (184) (185) (186) (187) (188) (189) (190) (200) (210) (220) (230) (240) (241) (242) (243)

徒然草第百七十四段

小鷹によき犬(小鷹狩に適した犬を) 大鷹に使ひぬれば(大鷹狩に使ってしまうと)

小鷹にわろくなるといふ(小鷹狩には向かなくなるという)

大につき小を捨つる理（ことわり）(大について小を捨てる道理は) 誠にしかなり(まことにその通りである)

人事（にんじ）多かる中に(人間の行いが多い中に) 道を楽しぶより気味深きはなし(仏道に精進して充実を覚えることより味わい深いものはない)

これ(これこそ) 実（まこと）の大事なり(人生で真に大事なことだ)

一び道を聞きて(ひとたび仏道を聞いて) これに志さん人(これに志す人は)

いづれのわざかすたれざらん(その他のあらゆる道をやめてしまい) 何事をか営まん(何事も営まないだろう)

愚かなる人といふとも(愚かな人とはいっても) 賢き犬の心におとらんや。(賢い犬の心よりは勝っているのだから)