徒然草

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徒然草第百十三段

四十(よそぢ)にもあまりぬる人の(四十も過ぎた人が) 色めきたる方(なまめかしい色恋の方面に)

おのづから忍びてあらんは(忍んで行っているのは) いかがはせん(仕方ないが)

言(こと)にうち出(い)でて(わざわざ言葉に出して) 男・女の事(男女のことを)

人のうへをも言ひたはぶるるこそ(も言い戯れているのは) 似げなく (年相応でなく) 見苦しけれ(見苦しいものだ)

大かた聞きにくく見苦しき事(およそ聞きづらく見苦しい事は) 老人(おいびと)の若き人にまじはりて(老人が若い人に交って)

興あらんと物言ひゐたる(ウケるだろうと物を言っている姿) 数ならぬ身にて(取るに足らない分際で)

世の覚えある人を(世間の誉高い人を) へだてなきさまに(まるで知り合いのように馴れなれしく) 言ひたる(言うこと)

貧しき所に(貧しい家で) 酒宴好み(酒宴を好み) 客人(まれびと)に(客に) 饗応(あるじ)せんと(ご馳走しようと) きらめきたる。(派手にふるまっているさま)