徒然草

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徒然草第五十五段

家の作りやうは(家の作りようは) 夏をむねとすべし(夏を中心にしたほうがよい)

冬はいかなる所にも住まる(冬はどんな所にも住める)

暑き頃(暑い頃) わろき住居（すまひ）は(悪い住まいは) 堪へがたき事なり(堪えがたい事だ)

深き水は涼しげなし(深い水は涼しい風情が無い) 淺くて流れたる(浅く流れるのが) 遙かに涼し(ずっと涼しげだ)

細かなるものを見るに(細かいものを見るときに) 遣戸は蔀の間よりも明し(遣戸のある部屋は蔀のある部屋よりも明るい)

天井の高きは(天井の高いのは) 冬寒く(冬寒く) 燈暗し(灯が暗い) 造作は(家の作りは) 用なき所をつくりたる(用の無い所を作りこんでいるのが) 見るもおもしろく(見るにも面白く)

萬の(万事) 用にも立ちてよしとぞ(用にかなってよいと) 人のさだめあひ侍りし。(人の評定しあったことだ)