徒然草

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徒然草第四十八段

光親卿 (光親卿が) 院の最勝講奉行してさぶらひけるを(後鳥羽上皇さまの御所で最勝経を講じて天下泰平を祈る役をされたのを)

御前へ召されて(上皇さまは御前にお召しになって) 供御をいだされて食はせられけり(食事を出されて食べさせなさった)

さて食ひ散らしたる衝重（ついがさね）を(さて食い散らかした食膳を) 御簾の中へさし入れてまかり出でにけり。(光親卿は御簾の中へさし入れて退出した)

女房(女房) 「あな汚な(「なんと汚い) 誰に取れとてか」など申しあはれければ(誰に片付けろと言うのかしら」など言い合ったところ)

「有職のふるまひ(上皇さまは「故実に通じたふるまい) やんごとなき事なり」と(立派な事だ」と)

かへすがえす感ぜさせ給ひけるとぞ。(返す返す感じ入りなさったという)