徒然草

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徒然草第六十一段

御産（ごさん）の時(高貴な方のご出産の時) 甑（こしき）落す事は(甑を落とす事は)

定まれることにはあらず(決まっていることではない)

御胞衣（おんえな）滯（とどこお）る時の(胎児の胎盤や膜がうまく排出されない時の) 呪（まじない）なり(まじないである)

滯らせ給はねば(うまく排出される時は) この事なし(この事は無い)

下ざまより事おこりて(この風習は下々よりおこったことで) させる本説なし(これといった典拠は無い)

大原の里の甑をめすなり(大原の里の甑を召して使うという)

ふるき寳藏の繪に(古い宝蔵の絵に) 賤しき人の子産みたる所に(賤しい人が子を産んでいる所に)

甑おとしたるを書きたり。(甑を落としているのを描いてある)

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