徒然草

(0) (10) (20) (30) (40) (50) (60) (70) (71) (72) (73) (74) (75) (76) (77) (78) (79) (80) (81) (82) (83) (84) (85) (86) (87) (88) (89) (90) (91) (92) (93) (94) (95) (96) (97) (98) (99) (100) (110) (120) (130) (140) (150) (160) (170) (180) (190) (200) (210) (220) (230) (231) (232) (233) (234) (235) (236) (237) (238) (239) (240) (241) (242) (243)

徒然草第八十八段

或者(ある者が) 小野道風の書ける(小野道風の書いた)

和漢朗詠集とて(和漢朗詠集として) 持ちたりけるを(持っていたのを)

ある人(ある人が)

「御相傳浮けることには侍らじなれども(「先祖伝来の言い伝えが根拠のないことというわけでは無いでしょうが)

四條大納言撰ばれたるものを(四条大納言が編纂された和漢朗詠集を)

道風書かむこと(それより前の時代の小野道風が書いたということは)

時代や違ひはべらむ(時代が違ってございましょう)

覺束なくこそ」といひければ(あやしいことです」と言った所)

「さ候へばこそ(「だからこそです)

世に有り難きものには侍りけれ」とて(世にもめずらしい物なのでございます」といって)

いよいよ秘藏しけり。(ますます大切にしまっておいた)